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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第36章 《巻の参―杏子の樹の傍で―》
 泉水は河原まで来ると、抱えてきた空の桶を脇に置いた。流石に天秤棒を担いでくるのは止めた。
 河原の片隅で、杏子の樹が薄紅色の花を満開につけている。ここの杏子の実は砂糖漬けにすれば茶菓子にもなるし、種は薬としても使えるのだと光照が教えてくれた。収穫の季節が今から愉しみである。
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