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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第4章 《参の巻―囚われた蝶―》
 また静寂があった。
 泉水は小さく首を振った。
「正直、よく判りません。まだ子どもでしたから。祐次郎さまが亡くなられた折、私はまだ十一でした。恋が何なのかどころか、人を好きになることさえ、知らなかったのです」
「でも、嫌いではなかったのだろう? 少なくとも、昨日の泉水の口ぶりでは俺にはそのように思えたぞ」
 泉水は正直に頷いた。
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