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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第4章 《参の巻―囚われた蝶―》
祐次郎は後嗣のおらぬ槇野家に婿養子に入るはずであった。白い頬を紅潮させて、少し眩しげに泉水を見つめながらそう言った。あの時、祐次郎は十三歳、亡くなる前年のことであった。その頃、急に身の丈も伸び、線が細いなりに少年らしくなってきたように記憶している。
「泉水にとって、祐次郎どのの想い出は大切なものなのだな。亡くなって久しいというに、いまだにそなたにそのような表情をさせるとは、何だか、少々妬ける」