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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第38章 《巻の壱―別離―》
 と、庭に面した廊下に時橋が姿を見せた。
「姫さま、若君さまがお目覚めになられましてございます」
「あい判った、今すぐ行く」
 応えておいて、泉水は廊下に上がり、そのまま自室へと戻った。外はまだ睦月の終わりとて真冬の厳しさが身に滲みたが、この中は火鉢が炊かれていて、幾分かは温かい。尼寺では普段から質素倹約を旨としている。
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