この作品は18歳未満閲覧禁止です
蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第38章 《巻の壱―別離―》
時橋は早くも相好を崩している。いや、時橋だけではなく、光照にしろ伊左久にしろ、皆が黎次郎を孫のように溺愛している。時橋はともかく、伊左久も光照も一度憂き世を捨て、孫と呼ぶ血を分けた存在も持たない淋しい境遇であった。
時橋には嫁いだ三人の娘たちにはそれぞれ子がいる。従って、孫はいるのだが、時橋にしてみれば幼くして離ればなれになった我が娘の生んだ孫よりは、ずっと常に傍にいる泉水の生んだ黎次郎の方に情が湧くらしい。