この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第39章 《巻の弐―黒い影―》
「それでは、有り体に申し上げる。奥方さま―いえ、貴方さまのお言葉をお借りするなら、おせんさま。榊原家にはいまだお世継がおわされませぬ。貴方さまも武門のお家に生まれたお方なれば、よくよくご理解頂けるはずにございます。当家は一日も早きお世継さまのご誕生を望み必要としております。貴方さまのお生み奉った若君さまは紛れもなき榊原家のご嫡子、殿のお血を引く和子さまにございますれば、それがし、このままおめおめと一人で帰るわけには参りませぬ」
「それは、いかなる意味にございましょう」
「それは、いかなる意味にございましょう」