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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第39章 《巻の弐―黒い影―》
 そう思うと、今更ながら子を手放した我が身の罪深さをひしひしと感じずにはおれない。我に返り、背後を振り向いた時、既に赤児の泣き声は聞こえるはずもなく、石段を降りきった先に続く山道にも脇坂の姿はなかった。
―とうとう、行ってしまった―。
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