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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第40章 《巻の参―出家―》
「おせんどの―」
 流石に光照が言葉を失った。傍らの時橋は見ていられず、そっと袂で眼頭を押さえる。
「本当にそれでよろしいのですね、ひとたび現し世を捨てれば、もう二度と立ち戻ることはできないのですよ」
 光照の静かな声が降る。泉水はその場にくずおれたまま、頷いた。
「たとえ何があろうと、後悔はございません」
 うっと小さな呻き声が聞こえたのは、時橋が悲嘆のあまり声を殺して泣いているのだった。
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