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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第40章 《巻の参―出家―》
本堂の中央にある須彌壇の上には黒塗りの厨子が安置されている。その内におわすのは黄金に彩色された観音菩薩であった。御仏が慈愛に溢れたまなざしを向けている。慈しみに満ちた視線でありながらも、どこかに哀しみを湛えたその表情は、どこまでも静謐だ。
その観音像にもどこか似た表情を浮かべた、光照は静かにその場に座っている。
「判りました。おせんどののお気持ちがそれほどに固いのであれば、私ももう何も申しませぬ。剃髪を許しましょう」
その観音像にもどこか似た表情を浮かべた、光照は静かにその場に座っている。
「判りました。おせんどののお気持ちがそれほどに固いのであれば、私ももう何も申しませぬ。剃髪を許しましょう」