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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第40章 《巻の参―出家―》
 その夜、蓮照となったばかりの泉水は、なかなか寝付けなかった。出家したとはいえ、姿形が変わったにすぎず、この小さな庵での暮らしぶりは殆ど変わらない。早朝に起き出して水汲みや掃除をし、朝と夕は光照と共に読経を捧げる。その合間には様々な雑用をこなした。尼姿となって十日が過ぎたある日の夜のことである。
 梅雨の最中とあって、ここ数日は毎日、雨続きである。それが今宵は珍しく晴れた。
 銀の眉月が冴え渡る夜空に銀色に輝き、淡い紫に色づいた庭の紫陽花を照らしていた。
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