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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第40章 《巻の参―出家―》
蓮照(泉水)は何故か軽い胸騒ぎのようなものを感じて眠れなかった。何がどう不安なのかと問われても、上手くは応えられない。それなのに、胸の内に嫌な予感というのか、妙な胸騒ぎが黒雲のように渦巻いている。
床に入っても一向に眠れぬままに刻だけが徒に過ぎた。いつもなら泉水がそんな様子を見せれば、傍らの時橋がすぐに何事かと不安がるのだけれど、昼間の疲れからか、時橋は布団に身を横たえて背を向けたまま、身じろぎもしない。