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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第40章 《巻の参―出家―》
時橋は自分が泉水を現世に引き止められなかったことをひどく気に病んでいた。泉水が世を捨てたのは、自分の力が足りなかったせいだと自分を責めていた。
その時橋の苦渋を知りながら、泉水は何もしてやらなかった。ただ我が身一人が黎次郎を失った哀しみから逃れたくて、一途に仏道に帰依することを願っていた。そんな泉水を、時橋はどのような想いで見ていたのか。恐らくは泉水が愛児を手放した哀しみのあまり、この世を捨てる気になったのだと思っていたただろう。
その時橋の苦渋を知りながら、泉水は何もしてやらなかった。ただ我が身一人が黎次郎を失った哀しみから逃れたくて、一途に仏道に帰依することを願っていた。そんな泉水を、時橋はどのような想いで見ていたのか。恐らくは泉水が愛児を手放した哀しみのあまり、この世を捨てる気になったのだと思っていたただろう。