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第40章 《巻の参―出家―》

　一体、自分は何のために尼となったのか。これでは人を救うどころか、窮地に追い込んでいるようなものだ。
　鬱々と悩み、修行にも身に入らぬ日々が続いた。そんな泉水を師である光照は哀しげな眼で見つめていた。
　そんなある日のこと。時橋が自害してからふた月近くが経っていた。八月の盆も近い暑い日だった。泉水は廊下に一人座り、空を見上げていた。