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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第40章 《巻の参―出家―》
 泉水がそんな想いに囚われていた時、隣に誰かが座った。
「時橋?」
 そんなことばあるはずはないのに、つい懐かしい名を呼んでいた。こうして泉水が一人で庭を眺めていると、時橋は本当によくそっと傍に来て座っていた。別に何を言うわけでもない、ただ傍に控えて見守っているだけであった。だが、たったそれだけたで、泉水はいかほど安心できただろう。いつも時橋が傍にいてくれると思っただけで、母に守られている子どものような安堵に包まれた。
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