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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第6章 《巻の壱》
少なくとも、泰雅は幾人もの女を抱いてはきたが、そういったことだけには気をつけてきた。それが男として、人としての最低の義務だと思ったからだ。ゆえに、泰雅が知る限り、遊び人の彼に隠し子がいるなぞという話しは聞いたことがない。むろん、あくまでも彼自身が知る範囲においてはのことだけれど。もし仮に、自分が関係を持った女に子ができたと知れば、彼はたとえ女に愛情を抱いていなかったとしても、その子を我が子として認め、それなりの待遇を与えたに相違ない。泰雅はそういう男であった。