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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第6章 《巻の壱》
 女がわっと泣き伏した。急に腕の中に飛び込んできた女を、泰雅は愕いて受け止めた。か細い背中が小刻みに震えている。
―一体、腹の子父親はどこのどいつだ。許せねえ。
 泰雅は以前の彼ならば鼻で嗤うような、ささやかな正義感に燃えて憤慨した。
 果たして自分が手を伸ばして良いものかと少し躊躇った後、おずおずと女の背中に手を回す。女は泰雅の広い胸で烈しく泣きじゃくった。
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