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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第6章 《巻の壱》
 寝所の中はひそやかな静寂で満たされている。千尋の海の底を思わせるほどの静けさの底で、低い衣擦れの音が妖しく響いていた。
 うつ伏せになった泉水は錦の夜具に顔を押しつけている。背後から急に刺し貫かれ、泉水はあえかな呻き声を上げた。
「泉水―」
 名を呼ばれても、茫漠しとした頭では返事を返すことさえできない。
「泉水、返事をしてくれ」
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