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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第41章 《巻の四―岐路(みち)―》
 泉水は本当に綺麗になっていた。昔はまだ稚さを残していた愛らしい顔は可憐さはそのままに、臈長けた大人の女を感じさせるものになっている。地味な鈍色の衣を身に纏っていても、二十三歳という女盛りの色香が法衣の下から滲み出ているかのようであった。
―泉水。お前は俺をそこまで嫌うのか。
 泰雅は暗澹とした想いを抱え、いつまでもその場に立ち尽くしていた。菜の花が春の風に揺れている。時折聞こえる雲雀の声が先刻までとは違って、ひどく遠く、場違いなものに思えた。
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