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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第41章 《巻の四―岐路(みち)―》
江戸を出てからの五年間は、泉水が母となり、人の痛みを知ることを憶えた月日でもあった。もし今、三年前に時を戻せるなら、時橋を死なせずに済んだかもしれない。だが、今となっては、それももう詮無いことであるる。時橋は、泉水に自分の選んだ道をまっとうするようにと言い残したのだ。三年前は、その選んだ道というのは仏道のことだと思ったのだけれど、もしかしたら、時橋が言いたかったのは、もっと広い意味での道だったのかもしれない。