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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第43章 《巻の壱―花惑い―》
本当ならありがたいと思うような気遣いにも拘わらず、かえって疎ましいものに思えるのは、やはり泰雅への気持ちが既に冷めきっているからに相違ない。
床の間の脇には黒塗りの違い棚がしつらえてある。床の間にある掛け軸は墨絵の桜が一輪、墨の跡も鮮やかに勢いよく描かれていた。その前には、いかにも高価そうな青磁の壺がに数本の山吹が投げ入れられている。大人であれば、ひと抱えもあるその大ぶりな花は黄金色(こがねいろ)の花をたわわにつけ、部屋内に彩りを添えている。
床の間の脇には黒塗りの違い棚がしつらえてある。床の間にある掛け軸は墨絵の桜が一輪、墨の跡も鮮やかに勢いよく描かれていた。その前には、いかにも高価そうな青磁の壺がに数本の山吹が投げ入れられている。大人であれば、ひと抱えもあるその大ぶりな花は黄金色(こがねいろ)の花をたわわにつけ、部屋内に彩りを添えている。