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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第43章 《巻の壱―花惑い―》
眼に熱いものが込み上げる。あの鳥と共にゆけば、あの空の高みまで飛んでゆけるはずだ。時橋がいるあの空の彼方まで鳥のように飛んでゆけたら良いものを。
「私も鳥になりたい」
泉水は大粒の涙を零した。鳥のように翼があれば、どこにでも好きな場所に飛んでゆけるのに。泰雅の手の届かぬところまで逃れることができるのに。泉水を誰も知らない場所に行って、ひっそりと暮らしたい。あの男に見つからぬ、どこか遠くへゆきたい。
熱い雫が白い頬をすべり落ちる。
「私も鳥になりたい」
泉水は大粒の涙を零した。鳥のように翼があれば、どこにでも好きな場所に飛んでゆけるのに。泰雅の手の届かぬところまで逃れることができるのに。泉水を誰も知らない場所に行って、ひっそりと暮らしたい。あの男に見つからぬ、どこか遠くへゆきたい。
熱い雫が白い頬をすべり落ちる。