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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第43章 《巻の壱―花惑い―》
 と、背後で脚音が響き、泉水はハッと振り返った。
「奥方さま、いかがなされましたか」
 奥向きを取り仕切る女中頭の河嶋がひっそりと立っていた。河嶋が気遣わしげな視線を向けているのも道理であった。改めて我に返れば、泉水は草履も突っかけず、裸足で庭に降り立っているのだった。鶯を追いかけようとして、夢中だったため、気付かなかったのだ。
「奥方さま?」
 再度呼びかけられ、泉水は淡く微笑んだ。
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