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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第43章 《巻の壱―花惑い―》
 江戸より泉水を迎えにきたのは、重臣一人に輿を担ぐ人夫たち。それに若い腰元二人であった。その重臣から、何も尼寺から持参してはならぬと言い渡されたのである。むろん、それは泰雅の厳命であり、泰雅は着替えの法衣一枚すら持ち出すことを許さなかった。
「そろそろ打掛なぞお召しになられてみては、いかがにございますか」
 その言葉に、泉水は弾かれたように顔を上げた。
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