この作品は18歳未満閲覧禁止です
蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第43章 《巻の壱―花惑い―》
最後は哀願するような口調になった。
男の眼を愉しませるために、きらびやかな打掛を身に纏う―、なぞと想像しただけでも身の毛がよだつようだ。元々、美しい打掛や小袖、女らしい恰好は性に合わず、男装してはお忍びで江戸の町に出かけていた泉水である。出家して俗世と縁を絶って以後は尚更、そのような華美な衣装への執着はなくなった。むしろ、美しく女らしく装うことが泰雅を歓ばせるため、満足させるためだと思えば、虫酸が走る。