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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第43章 《巻の壱―花惑い―》
「奥方さま、どうか意地をお張りにならず、お幸せになって下さりませ。奥方さまはお世継の若君さまのご生母さまにおわします。ご正室であり、お世継さまのご生母さまであるお方さまには望めば、いかようなるお幸せをも掴まれることができましょう。ましてや、奥方さまは殿にあれほどまでに愛されておいでなのでございますゆえ。殿のお気持ちはただ、奥方さまをお側に置いて、末永く慈しまれたいだけなのでございます」
「もう良い」
泉水は消え入るような声で言った。
「もう良い」
泉水は消え入るような声で言った。