この作品は18歳未満閲覧禁止です
蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第44章 《巻の弐―反旗―》
何かと眼を凝らしてみると、白い花が一輪、片隅にひそやかに花開いている。たった一輪だけではあったが、その存在感を主張するかのように艶やかに見事に咲き誇っていた。牡丹のようにも見えるその花の上を戯れるかのように蒼い蝶がひらひらと飛んでいる。まるで現(うつつ)ならぬ世界のもののように魅惑的な光景であった。
白い花が、蝶が手招きしているような気がして、泉水はついふらふらと吸い寄せられるように近付いてゆく。