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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第44章 《巻の弐―反旗―》
 河嶋の咄嗟の機転のお陰で、泉水は、そのまま廊下に出ることができた。
 あれほど煌々と輝いていた月が雲に閉ざされている。ぬばたまの闇の底に沈んだ庭は、不気味なほどの静寂に満たされていた。
 ふっと、視界を白いものがよぎる。
 どこからか花の香りらしい、かぐわしい匂いが風に運ばれてくる。
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