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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第6章 《巻の壱》
 誰か泰雅にそんな顔させる女性がどこかにいるというのだろうか。
 それとも、こんな想いは自分一人の妄想であって、所詮根も葉もない他愛ないものなのか。思い惑う泉水の胸中など知らぬげに、ほどなく泰雅は泉水を腕に抱いたまま、規則正しい寝息を立て始めた。
 泉水は小さな吐息をつくと、自分もまた眼をつぶり、良人の身体の心地よい温もりに包まれて眠りに落ちていった。
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