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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第44章 《巻の弐―反旗―》
 泉水は小首を傾げるようにして、泰雅の顔を眺めた。枕辺の雪洞がほの白く閨を照らし出している。その灯りに浮かび上がる泰雅の整った貌は光線のせいだけではなく、どす黒く血の色が殆どない。心なしか、やや黄味を帯びているようにも見える。
「殿、お顔の色が悪うございます」
 それに、口にはしなかったけれど、泰雅の口調は明らかに呂律が回っていない。初めは酒量が過ぎたせいかとも思ったが、どうやら、それだけではないようだ。
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