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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第44章 《巻の弐―反旗―》
 だが。
 泉水には、泰雅の身体を憂える気持ちはある。かつては良人であり、惚れ合い、愛し合った仲の男だ。この男の側にいられるだけで良いと思った時代もあったのである。
 この顔色の悪さ、何より怪しげな物言いは尋常ではない。知らぬ顔はできなかった。
「妻ではなく、一人の人間として、申し上げております。どうか、ご酒をお控えなさって下さりませ」
 泉水が懸命な面持ちで言うと、泰雅が口の端を皮肉げに歪める。
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