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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第45章 《巻の参―変化(へんげ)―》
その言葉は、とにもかくにも泉水をホッとさせた。一時の慰みものにしただけで捨て置くのかとも思っていたのだ。正式な侍妾ともなれば、奥向きに独立した部屋を与えられ、〝お部屋さま〟としての待遇を受けることができる。その立場も単なるお付きの腰元とは歴然と違う。
良人が側室を持つのを正室が歓ぶというのは妙な話ではあったけれど、とりあえず最悪の事態だけは避けられたようだ。そのことに安堵の想いを抱いたのである。