この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第45章 《巻の参―変化(へんげ)―》
その言葉は、心からの言葉であった。五年前、脇坂は泰雅の命を受け、月照庵に黎次郎を迎えにきた。黎次郎はわずか生後八ヶ月で母から引き離され、江戸へと連れ去られたのである。それは、泰雅の泉水に対する復讐であった。自分を裏切り失踪した妻から、泰雅は最も大切な我が子を取り上げたのだ。
確かに、あのときは黎次郎を連れ去ろうとする脇坂を恨めしく思ったこともないとはいえない。しかし、月日を経た今、脇坂が泰雅の家臣である以上、ああして命に従うしかなかったのだと理解できる。
確かに、あのときは黎次郎を連れ去ろうとする脇坂を恨めしく思ったこともないとはいえない。しかし、月日を経た今、脇坂が泰雅の家臣である以上、ああして命に従うしかなかったのだと理解できる。