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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第45章 《巻の参―変化(へんげ)―》
なのに、素直には歓べない。黎次郎は今、自分を見たとしても、泉水が母親だとは認識できないだろう。それは当然のことだ。物心つく前に、泉水の手から離れ、遠い江戸へと赴いたのだ。だが、黎次郎と離れた淋しさに自分が耐えている間、泰雅だけは黎次郎と親子らしい刻を過ごしていたのだと思うと―、妬ましさと怒りを感じずにはいられない。
「済まぬ。その話はもう良い。黎次郎の様子はよう判った。これよりも、あの子のことをくれぐれも頼みます」
「済まぬ。その話はもう良い。黎次郎の様子はよう判った。これよりも、あの子のことをくれぐれも頼みます」