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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第45章 《巻の参―変化(へんげ)―》
「それならば、奥方さまが還俗なされたこともまた、致し方になきことにござりましょう。奥方さまが月照庵をお守りになるために、やむなく俗世に戻られたこと、この脇坂はよう存じております」
脇坂のこの言葉は、今の泉水の心に滲みた。
「のう、脇坂どの。殿は何ゆえ、私をお苦しめになられるのであろう」
泉水がどこまで逃げても、泰雅は執拗に追いかけてきて、捉えられてしまう。不覚にも涙が滲み、泉水は慌てて眼をしばたたいた。