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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第45章 《巻の参―変化(へんげ)―》
泉水は庭から脇坂に視線を戻す。
「一度は御仏にお仕えする身となりながら、こうして俗世に立ち返り、なすこともなく、無為な日々を過ごしておるばかりじゃ」
「奥方さま、奥方さまは先刻、仰せになられましたな。五年前、それがしが黎次郎君を連れ去ったことは致し方のなかったことだと」
脇坂が静かな声音で言った。
泉水が脇坂の顔を見る。
五年の間に白髪がやや目立つようになった脇坂は、以前より表情や雰囲気が随分とやわらぎ、穏やかになったようだ。
「一度は御仏にお仕えする身となりながら、こうして俗世に立ち返り、なすこともなく、無為な日々を過ごしておるばかりじゃ」
「奥方さま、奥方さまは先刻、仰せになられましたな。五年前、それがしが黎次郎君を連れ去ったことは致し方のなかったことだと」
脇坂が静かな声音で言った。
泉水が脇坂の顔を見る。
五年の間に白髪がやや目立つようになった脇坂は、以前より表情や雰囲気が随分とやわらぎ、穏やかになったようだ。