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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第45章 《巻の参―変化(へんげ)―》
 脇坂は彫像のように身じろぎもせず、じいっと端座している。その顔には濃い絶望と疲労が滲んでいた。
「済まぬ」
 泉水は、もう一度、消え入るような声で言った。
 庭の片隅から蛙の啼く声が聞こえてきた。
 梅雨には、まだ間があるのにと泉水は意識の片隅でぼんやりと考える。
 何故か、その蛙の声が無性に物哀しく聞こえるように思えるのは、気のせいであったろうか。
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