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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第46章 《巻の四―儚い恋―》
 男装しては、しょっ中、江戸の町をお忍びで歩き回っていた泉水である。人眼に触れずに屋敷を出るのは容易いことだった。流石に袴は今は持ち合わせていなかったけれど、裾を引きずる打掛を脱ぎ捨て、小袖一枚になれば、かなり身は軽くなる。更に小袖の裾を端折ってしまえば、動くのも楽だ。塀だって容易く乗り越えられた。もっとも、袴姿のときのようなわけにはゆかないが。
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