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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第46章 《巻の四―儚い恋―》
旗本奴というのは、歌舞伎役者も顔負けの派手な着物を着て、町をのし歩く無頼の輩である。若い町娘に因縁をつけ、物陰に引っ張り込んで乱暴するは、お店者に肩をぶつけたと言っては金を強請りと、悪事に悪事を重ねた。町人にとっては迷惑極まりなき存在ではあったが、立場は仮にも天下の直参旗本の倅だけに、迂闊に手出しはできない。
そのため、彼等のやりたい放題にさせておくしかなく、余計にそれが旗本奴をのさばらせることになっていた。