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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第46章 《巻の四―儚い恋―》
詮索好き、話し好きだけれど、とことん人の好い長屋の女房連中は、そう言っては、笑いながら兵庫之助を事ある毎に冷やかした。
そろそろ夕闇の漂い始めた路地裏を、どぶ板を踏みならし、長屋の子どもたちが元気に駈けてゆく。その無邪気な姿に、ふっと眼を奪われた。
またしても離れることになってしまったけれど、黎次郎は今頃、どうしているだろうか。
ふと、そんな想いが胸をよぎる。
我が身をどこまでも身勝手な冷たい母だと思う。