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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第6章 《巻の壱》
 あんな女たらしの、ろくでなしなんか。
 そう思って、心の中で思い切り悪態をついてみる。そられは多分、時橋が聞けば、柳眉を逆立てて怒るほどに下品なおよそ良家の子女、もしくは武家の奥方が口にする罵り言葉ではない。
 ありとあらゆる言葉を並べ立てて泰雅を非難してみても、心はいっかな晴れない。むしろ、どんどん落ち込んでゆくばかりだ。
 何しろ、当の泉水がそのどうしようもないろくでなしに逢いたいのだから、どうしようもない。
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