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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第7章 《巻の弐》
《巻の弐》

 その日の昼下がり、泉水は縁廊からそっと庭に降りようとしていた。自室を出て、磨き抜かれた廊下が幾重にも折れ曲がった先のここら辺りは屋敷内でもひときわ奥まった一角に位置している。縁からは中庭が一望でき、水無月も半ばの今は紫陽花が緑濃い葉を茂らせている。ここは、ふた月ほど前、泰雅と泉水が初めて“夫婦”として出逢った場所でもある。それまで泉水は泰雅がよもや自分の良人であるとは想像だにしなかった。
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