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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第48章 《巻の壱―涙―》
やっとの想いで言った科白は、随分とありきたりのものになってしまったが、兵庫之助は泉水の胸の不安を十分にくみ取ったようだ。無骨な外見や性格には似合わず、意外に人の心の機微や動きを見るのには長けた男であった。生来、気遣いのできる、優しい男なのだ。
「ああ、落としたりするものか」
兵庫之助は屈託ない笑みを浮かべると、今度こそ背を向けた。それでもなお何か言いたげに所在なく立ち尽くしていると、更に数歩あるいたところで、兵庫之助が振り向いた。
「ああ、落としたりするものか」
兵庫之助は屈託ない笑みを浮かべると、今度こそ背を向けた。それでもなお何か言いたげに所在なく立ち尽くしていると、更に数歩あるいたところで、兵庫之助が振り向いた。