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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第48章 《巻の壱―涙―》
「ま、こちらの旦那かどうかだけ、念のため確認してやって下せえ」
 岡っ引きは小さく頭を下げると、後ろへと身を引いた。いつしか長屋の住人が顔を覗かせている。その野次馬の中には、今朝方、木戸口ですれ違った大工の女房も混じっていた。あのときのとは違い、ひどく気の毒そうな顔―赤ら顔には明らかに同情の色が浮かんでいた。
 何故、あのような表情をする? 眼の前の岡っ引きもあの大工の女房までもが自分をそんな哀れみのこもった眼で見るのだろう?
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