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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第49章 《巻の弐―哀しみの果て―》
 たとえ名乗らずとも、泉水にはこの幼児が誰であるか、瞬時に判った。母親の勘というのもあったろうが、とにかく泰雅の幼い頃を見ているのではと思うほど似ているのだ。
 男の子は恐る恐るといった様子、小さな身体で茂みから抜け出した。美倻がホウと吐息を吐き、懐剣を懐に収める。
「母上―?」
 子どもの黒い瞳がこれ以上はないというほど大きく見開かれる。
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