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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第49章 《巻の弐―哀しみの果て―》
 そして、まだ四歳ながら、黎次郎は父や守役の意見だけではなく、その他大勢の家臣たちの意見にも耳を傾けるといった態度を保っている。それだけの配慮と分別を身につけているのだ。
―脇坂どの。そなたに心より感謝しますぞ。
 泉水は心の中で脇坂倉之助に礼を言った。
 黎次郎の利発さ、健やかな成長ぶりは泉水の耳にも届いている。黎次郎の成長は泉水には何よりの歓びであった。そして、それは家老職を辞してまで黎次郎の守役ひと筋に専心してきた忠臣の苦労の賜であった。
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