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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第49章 《巻の弐―哀しみの果て―》
「いいえ、倉之助は一切、そのようなことは申してはおりませぬ。父上も折角母上が戻られたのだ、逢いたいのであれば自由に逢って良いぞと仰せられました」
 黎次郎は、それ以上を語らなかった。しかし、泰雅や脇坂の意見以上に、他の重臣たちが強硬に押しとどめたのだろう。
―殿を色香でたぶらかす、傾国の美女。
 それが、現在の榊原家の家臣たちが見る泉水の姿であった。
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