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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第49章 《巻の弐―哀しみの果て―》
「はい、黎次郎君(ぎみ)にお逢いできて、母は嬉しくて、このように涙を流しております」
 泉水が言うと、黎次郎が笑った。
「実は、表の庭で蜻蛉を追いかけて遊んでいたのです。それで、夢中になって追いかけている中に、脇坂らと離れて、迷うてしまいました。気が付いたら、奥庭まで来ていたのです」
 中庭から奥庭は続いている。恐らくは蜻蛉を追いかけている間に、一人で奥庭に来てしまっていたのだろう。
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