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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第49章 《巻の弐―哀しみの果て―》
兵庫之助は事切れてもなお、その守袋を離さず握りしめていたという。泉水はそれを形見として、いつも肌身離さず持ち歩いていた。中には稲荷社のお札と兵庫之助の遺髪が少し入っている。
泰雅と褥を共にする夜でさえ、泉水は夜着の中にそれを離すことはない。泰雅に夜着を脱がされる前に、そっと素早く褥の下に隠しておくのだ。泉水はいつも泰雅よりは早く寝所に入り、泰雅を迎えるのを待つゆえ、誰にも見とがめられることもなく守袋を隠せるのだ。
泰雅と褥を共にする夜でさえ、泉水は夜着の中にそれを離すことはない。泰雅に夜着を脱がされる前に、そっと素早く褥の下に隠しておくのだ。泉水はいつも泰雅よりは早く寝所に入り、泰雅を迎えるのを待つゆえ、誰にも見とがめられることもなく守袋を隠せるのだ。