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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第50章 《巻の参―臥待月の夜―》
 白くほっそりとした指先で盃を持つと、つと立ち上がり、そのまま濡れ縁まで歩いていった。
「殿、今宵は月が美しうございます。ご覧あそばしませ」
 泉水は妖艶に微笑むと、盃を少し持ち上げて見せ、月影を盃に満たされた酒に映す。しばし、月影を眺めていたかと思うと、ひと息にグイと煽った。白い喉元が動くのを、泰雅は陶然と眺めている。
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