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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第50章 《巻の参―臥待月の夜―》
そのときである。眠っていたかと思われた泰雅がガバと身を起こした。
「そなたも所詮は女だな。この俺がそう易々と殺られると思うてか」
泰雅は泉水の振りかざした懐剣の刃を発止と両手で受け止める。わずか後、泉水は逆に泰雅に懐剣を持った手首をねじ上げられ、身体をその場に押さえつけられていた。
か細い手首を掴んだ泰雅は、ギリギリと力を込めて締め上げてくる。あまりの激痛に、泉水は悲鳴を上げた。震える手から懐剣が落ちる。